第二走者にしていきなり変化球です。
第二走者 中二 鈴木
「あ、あれ、誰だろう」
「知らないよ。・・・。でも、ハチマ先生じゃないかな」
二人とも意味のない会話をする。どうしてもだ。これを経てからでないと、ただの変人だ。
「なあ、見に行ってみようぜ」
アサダが言うと、ムトウはこたえられない。それもそうだ、仕方ない。階段で遭遇するとまずいのに。
「正面玄関に居たんだよな」
階段を下りる途中で気づいた。そうとも、正面玄関はここを下りてすぐだ。
「やっべ、やっちまった~」風船から空気が抜けていくような声も、私にはしっかりと聞こえる。この距離でも。
「おい、どうす……後ろ後ろ後ろ」アサダの動きは速かった。まるで、待ちわびていたかのように走り出すと、その足音たちは私の感覚の中に吸い取られていた。
校内でこんなにも、走ったことはないだろう。